仕事上、双極性障害で辛い2つのことと私なりの対処方法【松浦秀俊さん】

2018.06.03公開 2020.05.19更新

最近の体調は低め安定の日々です。この「低め安定」は、双極性障害にとって悪いものでは必ずしもありません。

 

低めを基準にすることで、ちょっとした気分の上がりに気付きやすくなるという意味では良い状態だとも言えます。

 

例えるなら、淡々と日々を過ごしている、そんな状態です。

 

さて、今回のテーマは「仕事上、双極性障害で辛い2つのことと私なりの対処方法」です。

 

双極性障害として辛い2つのこと

双極性障害を抱えながら仕事をしていく時の辛い点を考えると、2点が挙げられます。

 

やりたい事をやりたいだけチャレンジする事がNG

双極性障害にとって、軽躁状態、躁状態はその後のうつ状態を考えると、危険なものとして扱うのが一般的です。

 

行動を抑制するなどして、できるだけ気分が上がり過ぎる、上がりきるのを防ぎます。

 

よって、仕事上でやりたい事が出てきた時は、軽躁状態になる危険をはらんでいるため抑制する事が求められます。

 

例えば私の場合、前職で広報業務をしていた時のこと。

 

当時はTwitterが徐々に広がっているときで、会社として情報発信ツールとして活用を検討するという話になりました。

 

新しいモノに関心が高い私は、「これを徹底的に調べて、他社よりも上手く活用しよう!」といった発想が浮かびました。

 

すると、仕事時間はもちろん、業務後や土日もTwitter関連のイベントに行ったり書籍を読んだり、出来ることは徹底的にやりました。

 

その活動が自分の気分に影響を与え、軽躁状態に。1日130回近いつぶやきを個人Twitterでやっていたところ、他社の広報の人の間では「あの人は大丈夫なのか?」という噂になっていたと後で聞きました。

 

そして、その後しばらくしてうつ状態になり、休職となってしまいました。

 

このように、自分では良かれと思ってやったことが他の人に迷惑をかけたり、また本人がやりきれない仕事を他の人がフォローする事態にもなってしまいます。

 

落ち込んで来たときでも活動量を保つため働く事が必要

双極性障害は、気分の浮き沈みと一生付き合っていく病気と言われています。

 

また、うつ病の対処との違いとしては、気分が落ち込んできて、うつ気味になってきた時に完全に休んでしまうのではなく、活動性を保つことが対処になると言われている点です。

 

私も経験上とても分かるのですが、うつっぽい状態になってきた時に、「動きたくないから一日寝て過ごそう」といって寝ていると、どんどん気分が落ち込んできます。

 

そして翌日には、前日寝て過ごしたことを後悔したり、鈍った身体を動かすのが辛くて休む、という悪循環に入ってしまいます。

 

「動きたくないから一日寝て過ごそう」という甘い誘惑にのらず、イヤイヤでも起きてちょっと外に出る。

 

仕事であれば、会社を休まずとりあえず出社すればオッケーとして会社に向かう。

 

午前中が辛い場合でも、午後からでも会社に行く。

 

そんな形で辛いですが、活動性を保つのが大事になってきます。

 

 

私なりに工夫していること

ここから先は私なりの考え方になりますので、参考程度に読んでください。

 

それは、「チャレンジしながら軽躁の許容範囲を広げる」という考えです。

 

上記にも記載したとおり、やりたい事に手を出すことは、一歩間違えば、軽躁へ自ら進むことになります。

 

ただ、私自身、今の会社に入社して1年経った時に思ったのは、

 

「ただただ、行動を抑制し続ける働き方は面白くないなぁ」

 

という事。

 

双極性障害をコントロール出来たとしても、やりたい事が出来ないことは、私にとってとても辛い事に思えました。

 

なので、軽躁にもなり得ると想定した上で、「やりたいだけやり続ける」ではなく、

 

「限界だと思うラインのちょっと上の活動量を試して反応をみる」

 

という形をとってきました。

 

入社してからの具体的なチャレンジは 、

 

【2年目】産業カウンセラーの資格取得(平日夜、半年間講座を受講)

 

【3年目】現サービスの改善委員会参加(業務後に活動)

 

【4.5年目】新規事業の立案、精神保健福祉士の通信講座受講

 

【6年目】双極性障害の当事者活動

 

もちろん、全てが軽躁にならずにやれた訳ではなく、時に上がりすぎてしまうことも多々ありました。

 

ただ、結果としては、休職に至るまでの不調にはなっていないという意味では、コントロールの下でチャレンジできたかなと思います。

 

 

さいごに

振り返ると、過去の経験があるから、自分の軽躁の許容範囲が体感的に分かってきて、昔より対処がしやすくなったようにも感じます。

 

最後にご紹介した私なりに工夫している働き方については、リスクの高い部分もあり、皆さんにオススメできる方法ではないかもしれません。

 

双極性障害の当事者でこういった働き方をしている人もいるんだと知ってもらえたら嬉しく思います。

 

(もし、チャレンジする場合は主治医とご相談くださいね!)

 

 

松浦秀俊さんの連載一覧

【Part  1】双極性障害では仕事が続かない?正社員7年目のホントのトコロ

【Part  2】双極性障害の私が実践する仕事上の工夫と注意サインとは?

【Part  3】双極性障害での仕事探し!大切にしたい5つのこととは?

【Part  4】躁(軽躁)でもうつでもない平常時の自分なりの定義と働き方

【Part  5】仕事上、双極性障害で辛い2つのことと私なりの対処方法

【Part  6】双極性障害で職場復帰までの工夫、嬉しかった職場での接し方とは?

【Part  7】妻からみた双極性障害の夫。出会い・結婚・子育て・家族としての工夫や悩み

シェア
ツイート
ブックマーク

松浦秀俊

公認心理師・精神保健福祉士・産業カウンセラー。うつ病などの方の復職・再就職支援「リヴァトレ」の支援員・広報。双極性障害II型の当事者。現在の職場では勤続7年目(休職0回)。@bipolar_peer

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年6月3日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。