コンプレックスによる嫉妬を克服するには?4ステップを臨床心理士が解説
嫉妬への2つの行動パターン
こういったコンプレックスによる嫉妬を感じた時、人がとる行動は2パターンに別れます。
それは【接近】か【回避】です。
接近した場合、自慢や虚勢といった形で表出されます。
先程の例ですと、
・A子を引きずり下ろすために、悪口やありもしない噂を広める
・「自分はもっと偉い人に仕事を依頼されていて信頼も高い」といった現実にはない自慢話をする
という行動として現れることがあります。
一方、回避した場合は、
・A子と顔を合わせないようなるべく違う仕事をする
・A子と会いたくないから、出勤時間をずらす
・A子と同じ環境にいることに耐えられず、転職を考える
といった行動が生じがちになります。
こういったコンプレックスによる嫉妬の特徴として、
①恋人
②友だち
③家族
が嫉妬の対象となることが多いです。詳しく見ていきましょう。
コンプレックスによる嫉妬の3つの例
コンプレックスによる嫉妬はどうして生じるのでしょうか?
その心理をケースごとに考えてみましょう。
1.恋人への嫉妬
自分自身に自信がない(容姿・経済力・家庭環境など)場合、恋人に対する嫉妬心がとても強くなることがあります。
「標準より体重が多めでなかなか痩せない」
「彼氏がかわいい店員さんばかり見ている気がして嫉妬してしまう」
「自分は友だちが少ないが彼女は友だちがたくさんいる」
「いつも友だちと出かけてばかりで、どこに行くのか気になってしまう」
などの感情に苦しむことが多いようです。
「恋人はできるが、長続きしない…」といった方は、一度ご自身のコンプレックスに目を向けてみることで、問題解決に導くことができるかもしれません。
2.友だちへの嫉妬
・成績について口うるさく言われるが、全く伸びない。努力しているのにいつも中の下。
・自分のやりたいことがわからず、将来が見えない
などといったコンプレックスがある場合、比較対象となる友だちに対する嫉妬が強くなることがあります。
「起業で成功しているらしい」
「いつも成績優秀な彼は、●●商社から内定が出たらしい」
「Bくんは大学院への進学を見据えて留学にいくらしい」
こんな話を耳にすると、強烈な嫉妬心を感じてしまいます。
その結果、
・話すのが辛くて休みがちになる
・登校拒否になる
・同じ土俵に立つことを回避するために定期試験を受けなくなる
・就活を全く始めない
・ネット上の友だちだけに依存してしまう
といった回避行動につながる可能性があります。
3.きょうだいへの嫉妬
嫉妬心は家族、特にきょうだいに対して生じることがあります。
・自分は女性であるため、長男である兄ばかり優遇される
・成績が優れている姉ばかり可愛がられて、自分は愛されていないと感じている
など、きょうだい間でもコンプレックスが生じることがあります。
この場合、相手に対して嫉妬が生まれ、
・兄とは15歳のときから一言も会話を交わしたことがない
・姉と顔を合わせることが嫌だから、しばらく実家に帰っていない
といった家族間の問題になりがちです。
コンプレックスによる嫉妬を克服するには?
1.自分にコンプレックスがあるということに気づく
以下のような行動に心当たりがありませんか?
1つでも当てはまるものがあれば、あなたにもコンプレックスがあるということです。
・「あの人は全然ダメだね」という他人のあら捜しをする
・学校や会社といった社会空間より、一人でいることを選びがちである
・他人の成功に対して「運が良かっただけ」などというように素直に褒めることができない
・称賛や批判に対して敏感である。褒められても疑い深い
・批判されそうな場合、その相手との物理的距離を置くようになる
自分自身のコンプレックスに気づく、ということはとても難しいことです。
まずはあなた自身にもコンプレックスがあるのだ、ということに気づくスタート地点に立ちましょう。
2.自分が嫉妬心を感じる相手を具体的に特定する
どういった相手に嫉妬心を感じやすいですか?
クラスのAさん、同僚のB、テレビで目にする芸能人など、あなたがどうしても嫉妬心を感じてしまう人を特定しましょう。
・いつも見るだけでイライラする
・なるべく一緒にならないよう避けている
・どうしても悪口を言ってしまう相手
など、心当たりがありませんか?
嫉妬心を感じるということは、あなたのコンプレックスが刺激されているということです。
どういった相手に対して嫉妬を感じるかを理解することは、あなたのコンプレックスを知るための手がかりとなります。
3.相手にはなくて、自分にはある“良いところ”を探す
2で判明した、あなたが嫉妬してしまう相手が持っていなくて、あなたにしかないものを探しましょう。
・優しい
・小さな子に好かれやすい
・責任感がある
など、嫉妬してしまうあの人にはなくて、あなたにしかないものがあるはずです。
4.自分にしかない“良いところ”を伸ばす
3で理解した性質は、あなたが伸ばしていくべき素晴らしい要素です。
この“あなたにしかない良いところ”を一生懸命伸ばしていきましょう。
その際に重要な観点は
・その能力を伸ばすことで、社会に還元できるか?
(恩恵を受けるのは自分だけでなく、他人も喜ばせることができるか?)
・“良いところ”を伸ばすことで、自分の人生の目標も達成されるか?
・“良いところ”を伸ばすことは、あなた自身が夢中になれる場所で行えることか?
の3つです。
「頭がいいところを伸ばして、億万長者になろう」では、他の人を喜ばせることができません。
自己中心的な解決案は、新たなコンプレックスを生み出します。
「人のために行動できることが良いところだから、接客業をやってみよう」
という発想は素晴らしいです。しかし、長期的な観点で考えた時、
【自分の人生をかけてやってみたいこと】
を見つけることが重要です。
真のコンプレックス解決には、人生の目標を見出すことが非常に重要になってきます。
最後に、良いところを伸ばす場として、ぜひあなた自身が夢中になれる場所を選んでください。
あなた自身が夢中になれる場所が見つけられる、ということは【人生の目標】を見つけ出すヒントになります。
さいごに
コンプレックスは悪いものではありません。
客観的に理解し、克服することでより良い人生を描くことができます。
また、コンプレックスが強いほど、より強いパワーとなってあなたの人生を後押ししてくれます。
嫉妬心は辛いですよね。
でもコンプレックスによる嫉妬から抜け出し、自分らしく生きていくことはできますので、ぜひ諦めず、あなたの良いところを探してみてくださいね。
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- 本記事は2019年6月28日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。