自尊心を高める5つの習慣とは?手軽に続けられる実践例から臨床心理士が解説

2020.09.04公開 2020.09.05更新

自尊心を高める習慣②

自分の意見や気持ちを日記に書く

これは社交性感覚を高めるのに役立ちます。

 

社交性感覚は、他者と気持ちが分かり合える経験によって感じることができるものです。

 

自尊心の低い人は、他者の意見を聞くことは得意ですが自分の意見や気持ちを伝えることが苦手なことが多いです。

 

自分の意見や気持ちを伝えるにはまず自分で自分の考えや気持ちを理解することが必要です。

 

そこで、日々の生活のなかで感じたことや考えたことを日記に書いてみることをおすすめします。

 

日記には、この3つを盛り込んでみましょう。

①出来事 (何があったのか)

②思考 (自分はどんなことを考えたか)

③感情 (自分はどんな気持ちになったのか)

この日記を続けることで、自分の思考や感情に注目する習慣が身につきます。

 

また、日記を読み返すことで自分がどんな時にどう考えているか、どんな気持ちになるのかが理解できます。

 

そうすると他者に自分の意見や気持ちを伝えやすくなり、他者と分かり合える経験にもつながるでしょう。

 

自尊心を高める習慣③

小さな目標を立てて実行する

これは勤勉性感覚を高めるのに役立ちます。

 

勤勉性感覚は、自分は努力できると思えたり、努力して何かを達成することができた時に感じられるものです。

 

自尊心の低い人は、自分に求める理想が高い一方、自信がないことが多く、目標を立てても目標が高すぎて自分には無理だと諦めてしまいやすいです。

 

そこで、まずは小さな目標を立てる練習をし、自分はその目標を達成できるのだという成功体験を積んでいきましょう。

 

小さな目標は、”出来ない訳がない”と思えるほど簡単なものが良いです。

 

例えば、このようなものです。

〇読み終えたい本がある人におすすめ

・毎日、本を1段落読む

〇勉強したい人におすすめ

・毎日、勉強机に向かい参考書を開く

〇痩せたい人や体を鍛えたい人におすすめ

・毎日、腹筋を1回する

〇特にやりたいことがない人におすすめ

・毎朝、起きた時に掛け布団を二つ折りにする

これなら毎日できそうですよね。

 

「毎日、本を1段落読む」を目標にした場合、1段落読めた時点でその日の目標は達成できたことになります。

 

“できたね!”と自分を褒めてあげましょう。

 

そして手帳やカレンダーにマークをして記録しましょう。

 

気分が乗った日には続きを読んでも良いし、もちろん1段落でやめても良いです。

 

こんな目標を立てても意味がないと思った方がいるかもしれません。

 

しかし、この小さな目標を達成することを繰り返せば、必ず本を一冊読み終えることができるのです。

 

そして、一冊読み終えた頃にはあなたの自信もきっと高まっているはずです。

 

ぜひ小さな目標を立て達成していく練習をしてみてほしいと思います。

 

自尊心を高める習慣④

自分の良い所を探してみる

これは自己受容感覚を高めるのに役立ちます。

 

自己受容感覚は、自分で自分のことを好きだと思える感覚です。

 

自尊心の低い人は、自分のダメな所や悪い所はよく理解されているのですが、自分の良い所を見つけるのは苦手なことが多いです。

 

そこで、自分の良い所や好きな所を探す練習をしてみましょう。

 

おすすめは、自分の良い所・好きな所・出来たことを10個紙に書き出すことです。

 

その時どうしてもダメな所・悪い所が思い浮かんでしまったらそれは別の紙に書いてください。

 

良い所が思いつかない時は、自分を厳しい目で見ているのかもしれません。

 

例えば、このような考え方になっていませんか?

・「自分は優しい」時もあるし優しくない時もある。いつも優しいわけではないから「自分は優しい」とは書けない。

・ある人には「仕事が丁寧だね」と言われたけれど、ある人には「もう少しテキパキやってほしい」と言われたこともある。だから「仕事が丁寧」なことは長所にはならない。

誰にでも良い時と悪い時がありますし、良い評価をされることも悪い評価をされることもあります。

 

ですから、いつもできていることや、皆から褒められることだけがあなたの良い所なわけではありません。

・時々発揮できる自分の良い面

・一度でも褒められたこと

・誰にも知られていないけど自分のなかで大切にしていること

・これはしないぞと決めていること

など…。どんなことでもあなたの良い所になりえます。

 

このように考えると、良い所・好きな所・出来たことが見つけやすくなると思います。

 

良い所が自分一人で思いつかない時は、できそうなら友達や家族に聞いてみるのも効果的です。

 

10個のリストができたら、それをお守りとして持っておきましょう。

 

新しく自分の良い所を発見したり新たに出来たことがあったらぜひリストに書き加えてくださいね。

 

自尊心を高める習慣⑤

食事と睡眠をきちんととる

ここまでは、心の面のアドバイスでしたが最後の一つは身体に関するアドバイスです。

 

睡眠と食事が自分に対する肯定的な気持ちを高めたり、精神的な健康にもつながるということが研究で明らかになっています。

 

具体的には、このようなことが言われています。

○睡眠について

・生活リズムが朝型の人のほうが夜型の人よりも自己肯定感(自尊心と似た概念です)が高い

睡眠の質が良い人のほうが自己肯定感が高い

・睡眠不足であると感じることは精神的不安定につながる

 

○食事について

・朝食を食べる頻度が高い人のほうが自己肯定感が高い

・食事の時に「いただきます」「ごちそうさま」を言う人のほうが自己肯定感が高い

・インスタント麺やファストフードの摂取量が多いと睡眠不足や身体の不調につながり、そこから精神的不安定につながる

 

このことから、以下の項目を心がけることは、自尊心を高めるための習慣として適していると考えられます。

・朝型の生活リズムを保つこと

・質の良い睡眠や自分なりによく眠れたと感じられる睡眠をとること

・朝食を食べること

・「いただきます」「ごちそうさま」を言うこと

・インスタント麺やファストフードを食べる回数や量を減らすこと

悩み事があったり気持ちが不安定な時は生活習慣が乱れたり、体の健康がおろそかになったりしやすいです。

 

まずは生活リズムを整えることから始めてみるのも良いかもしれません。

 

さいごに

今回は、自尊心を高めることにつながる習慣について、臨床心理士に5つほど具体例も挙げながら解説していただきました。

 

小さな目標を立てたり、自分の良いところを見つけたり、日記をつけてみたり、食生活や睡眠をしっかりとる…

 

どれも、一見すると地味だったり基本的なものが多く、「知ってたよ」という人もいるかもしれません。

 

「言うは易い、行うは難し」ではありますが、臨床心理士に手軽な実践の例も詳しく解説してもらっていますので、ぜひ一歩踏み出すきっかけにしていただけますと幸いです。

 
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【参考・引用文献リスト】

樋口寿・藤田朋子・久保美帆 (2008).大学生の精神的健康度に影響する食事因子の検討.近畿大学農学部紀要,41,17-25

樋口善之・松浦賢長 (2003).大学生における自己肯定感と生活習慣との関連に関する研究,福岡県立大学看護学部紀要,1,65-70

池田 寛 (2000) 「学力と自己概念」 解放出版社 PP31-32

成田奈緒子・渡辺ひろの (2015).大学生の自己肯定意識に影響する睡眠習慣の重要性.文教大学教育学部紀要,49, 209-221

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山崎日菜乃

臨床心理士/公認心理師

心理系大学院在学中よりカウンセリング、フリースクールや児童養護施設の訪問、心理検査業務などを経験。夢だった中学教諭としての就職が決まるもうつ病を発症し断念。大学院修了後、うつ病治療に取り組みつつ臨床心理士と公認心理師の資格を取得。うつ病経験者の心理士としてお役に立てることを模索中

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2020年9月4日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。