幸せなのに辛い、孤独、死にたい…対処法を精神保健福祉士が解説
辛い・孤独・死にたいの対処法は?
「辛い…」への対処法
実は、恵まれた状況での自己実現は案外難しいのです。
人間は生活がかかっているからこそ、必死で働きます。
働かなければ生活ができないので、多少つらくても、頑張らざるを得ません。
もがきながら働くことで、スキルも向上し、社会的評価もあがり、多くの人から認められる人間に成長していきます。
逆境が人を育てるという側面があるのです。
もしも、「働かなくても困らない…」という状況に置かれていたら、辛い通勤電車を我慢してまで、働くモチベーションを維持しつづけられるでしょうか?
環境が恵まれていると、
「そこまで大変ならやらなくてもいいかな」
「今のゆったりした生活ペースを壊してまで無理しなくていいかな」
という方向についつい流れがちです。
しかしそういう状態が長期続くと、やがて社会経験が少なくなり、自分の能力に自信がなくなっていきます。
自分が社会で役に立たない、無力な人間のような気持ちになるのです。
更に、環境が恵まれているのに、自己実現ができないのは、
・自分が怠け者だから
・自分の能力が低いから
と自分を責めることになりがちです。
環境のせいにできない分、より自分自身の責任だと考えがちなのです。
自分の好きなことをまず書き出す
まず、自分の好きなこと、やってみたいと思っていることを何でもよいので書き出してみましょう。
その中で、誰かの役にたつようなことはないでしょうか?
何も思いつかなかったら、部屋の中を見渡してみてください。
使わなかった年賀状、もう着ない洋服、読み終わった本…慈善団体に寄付するのはどうでしょうか?
時間的、経済的に余裕があるからこそ、できることがあります。
営利とはそぐわないような活動、儲けにはならないけれど、社会からは必要とされること…
そんな活動であなたの能力を活かせることはないでしょうか?
誰かの役に立つことは自信回復につながります。
自信を取り戻す最初の一歩として、身近な誰かの役に立つ活動を探してみましょう。
「孤独…」への対処法
「恵まれているのに辛い」という気持ちは、一般の人から共感を得にくく、相談しにくい悩みです。
生活のために歯を食いしばって働いている人から見ると、羨ましく、妬ましい。
「そんなことを言うのは甘えだ」
「人格が幼い」
と、批難されることもあります。
妬まれるのは、とても苦しいことなので、誰にも打ち明けられないし、いつも人に気を遣うようになります。
自分自身でも「恵まれた状況」であることが理解できているが故に、自分の悩みは話せない。
誰にも話せないので、何が苦しいのかうまく整理することもできず、もやもやとした自己不全感を抱えながら、孤独な状況に陥ってしまうのです。
人と関わるボランティア等に参加してみる
気持ちを整理するために、日記を書いたり、カウンセラーに話を聞いてもらうのもよいですが、子ども食堂など、人と関わるボランティアに参加するのも、よい方法だと思います。
子ども食堂には、貧困で満足な食事がとれない、一人ぼっちで食事をしなければならないような、不安や孤独を抱えた子が集まってきます。
「恵まれているのに辛い」という状況とは対極と思うかも知れませんが、
・自信がない
・自己不全感に苛まれる
という点で、気持ちが共感しあえるかも知れません。
また、孤独な気持ちがわかるからこそ、何かできることを思いつくかも知れません。
孤独で苦しい時は、誰かの役に立つことで、孤独から救われることがあります。
「死にたい…」への対処法
「もうこんなに苦しい人生が続くのなら、死にたい」
「何の役にも立たない自分がいても仕方がないから、ひっそりと社会から消えたい」
恵まれた状況にいながら、ここまで思いつめる原因はいろいろです。
ホルモンの影響で生理前に周期的に鬱になることもあります。
また思春期、更年期、など精神が不安定になりやすい時期もあります。
今は恵まれた状況だが、過去には虐待や親の死等、大きなストレスがあり、PTSDのように思い出すということもあります。
自信がなく不安が強い人は、現在の恵まれた状況がいつか破綻しないか?恐怖を抱いていることもあります。
クリニックへの受診やカウンセリングを
死にたいと思いつめている場合は、クリニックの受診も検討してみましょう。
カウンセラーに話をじっくりと聞いてもらうのもよい方法です。
身近な人から打ち明けられた場合は、
「恵まれているのに、いったい何が不満なの?」
「あなたより不幸な人はたくさんいる、甘えだ」
と責めるのは逆効果で、話を傾聴するとよいでしょう。
さいごに
今回は、幸せなのに、なぜ辛いのか?孤独なのか?死にたいのか?という問題について考えてみました。
客観的に恵まれた状況でも、自己不全感に苛まれて苦しんでいる方がいることがおわかりいただけたでしょうか。
このような問題を考えていくと、自分に対する
・自信
・有力感
・自己肯定感
を育てていくことが、いかに重要な課題であるかわかります。お役に立てば幸いです。
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- 本記事は2019年2月24日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。