うつ病の接し方として「ほっとく」はアリ?OK・NGケースを臨床心理士が解説
「ほっとく」がOKな3つのケース
うつを抱えた本人から「ほっといて」と言われた時、本人の意思を尊重したほうが回復が早い場合もあります。
心配な気持ちは尽きませんが、適度な距離を保つことも時には大切です。
ここでは「ほっといてもOKなケース」を考えてみましょう。
本人の安全を確認できる人がいる
家族やパートナーと同居していたり、親戚や友人、職場の仲間などがすぐに本人の状態を確認できる場合は、「ほっとく」のがOKなケースと言えるかもしれません。
特に、本人の状態が落ち込んできたときに迅速に対応できる人が居ると心強いです。
きちんと通院し、本人の気分も安定している
決められた通りに通院してカウンセリングや服薬等も正しく行えている、
かつ、
本人の状態も比較的安定している(極端な、あるいは急な気分の変調などがない)
場合も、本人のペースに任せておくことが許容できるケースです。
引き続き、回復への過程を見守ってあげてください。
食事や睡眠、日課などを自分で行うことが出来る
食事や睡眠、入浴など、生活上の基本的な行動を自律的に行える場合は、うつ病の症状が穏やかになっているサインであると考えられます。
こういったことが見られるときは、無理に接点を持とうとせずに、本人が望めば距離を置いておくのも良いかと思います。
「ほっとく」がNGな3つのケース
これまでとは逆に、うつ病の人を「ほっておいてはいけないケース」も存在します。
その人を守るために、知っておきたいポイントをおさえておきましょう。
「死にたい」「消えたい」など命に関わる発言がある
うつ病を抱えた本人が、「死にたい」「消えてしまいたい」というように命にまつわる発言をすることがあります。
加えて、妄想がみられる場合や、自身の無価値感(自分に価値がないと思う気持ち)や絶望感が語られる場合もあります。
これらは、うつ病の症状が重いことを示しています。
本人の話にしっかりと耳を傾け、緊急を要しそうな場合は主治医へ連絡するなどの対応をとりましょう。
本人の安全が確認できない
きちんと通院が出来ていなかったり、人間関係が希薄であったりすることから、誰も本人の状態を確認できない場合も、「ほっとく」のは危険であると思います。
本人の負担にならない程度に連絡をしたり、家を訪ねたりして安全を確認することが望ましいです。
「こちらに構わなくていいので、時々連絡(訪問)させてほしい」と事前に話しておくことで、本人の負担感を軽減できることがあります。
普段とは異なる不自然な様子がある
・突然イライラする
・強い不安感を訴える
・極度の不眠
上記のような、普段とは違う不自然な状態がある時も注意が必要です。
うつの症状が強くなっているサインであることがあり、場合によっては自分を傷つけることの予兆であることもあります。
精神的に不安定な状態ですので、長い間ひとりにしておかないようにしましょう。
さいごに
うつ病を抱えた方に「ほっといて」と言われた時の対応について考えてきました。
便宜上、こちらの記事では「ほっとく」という言葉を使ってきましたが、
「ほっとく=距離をとりながら見守る」
という意識でいることが重要です。
うつ病の患者さんは、その症状の特性から孤立してしまいがちです。
「ほっといて」という言葉だけに応えるのではなく、寄り添う視点も持ち続けることこそが本人の力になるのではないかと思います。
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- 本記事は2018年10月27日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。