産後うつで夫が嫌いに…すぐに実践できる3つの克服方法とは?【村田あゆみさん】

待ちに待った愛しい我が子との対面。それと同時に、新しい家族の生活が始まっていることと思います。

 

産まれたばかりの赤ちゃんと過ごしていると、その時間が果てしなくいつまでも続くように思える時がありませんか?

 

そんな時、のん気にスマホを眺める夫に「ムカッ!!」ってしてしまうこと、ありますよね。

 

1人目でも、2人目でも、3人目以降でも、ママはいつだって初めての環境に適応するために全力で毎日を送っています。

 

それに引き換え、夫は子どもが産まれる前と変わらない生活。

 

「なんで私だけ?」

「どうしてあなたは?!」

 

そんな風に感じて当たり前。

 

産後うつの発症は、初産の場合、産後2週間前後がもっとも多く、発症数の50%以上が産後1か月以内という厚労省研究班の調査結果が出ています。

 

>>【産後うつまとめ】特徴・原因・チェック項目・夫婦関係・セルフケア〜

 

 

産褥期は不安定になりやすい

ちょうど、退院から1か月検診までの間の産褥期と重なりますね。

 

産褥期は、産後の体調がまだ整っていない上に、ホルモンバランスも崩れて精神的に不安定になりやすい時。

 

そんな時にも関わらず、赤ちゃんのお世話や上の子の対応など、新しいことが次から次へと湧いてきて、一番身近なパートナーにサポートしてもらいたい時期でもあります。

 

だからこそ、一番に矛先が向くのがパートナーである夫です。

 

これまで同じステージで一緒に踊っていたのに、ふと気がつくと、自分1人ステージから降りて、スポットライトの当たらない場所にいた。

 

「なんで、あなただけ今までと変わらない時間を過ごしているの?」

 

そう思って当たり前です。

 

本心から夫を嫌いになったわけではないので、安心してくださいね。

 

ではなぜ、こんなに夫のことがイヤでイヤでたまらないのでしょう?

 

そこには3つの原因があったのです。

 

 

夫嫌い3つの原因とは?

ホルモンバランス

まず1つ目は、産後特有のホルモンバランスの問題。

 

出産時や授乳の時に、オキシトシンというホルモンが分泌されます。

 

このホルモン、別名「愛情ホルモン」とも呼ばれていて、赤ちゃんへの愛情を深める働きがあるホルモンです。

 

このオキシトシン、赤ちゃんへの愛情を深めると同時に、周囲を「敵」と認識してしまうことがあるのです。

 

サバンナのど真ん中で赤ちゃんを育てる雌ライオンが、周囲の状況に鋭く神経を張り巡らせているのを想像していただくと分かりやすいでしょうか。

 

自分と我が子以外の生物がテリトリーに入ってくるのを命がけで防いでいるわけです。

 

人間も同じように、我が子を守るために命がけになるのですね。

 

だから、身近な夫も「敵」として攻撃しようとする本能が働いてしまうわけです。

 

私の話で恐縮ですが、長男の産後半年ほどは、夫が半径60㎝以内に入ってくると、無性にイラっとしてわざと距離を取っていました。

 

その頃は指先が触れるなんてもってのほかで、食事の配膳も必要以上に大きなトレーを使って、テーブルまで運んでみたり、抱っこが重くて変わってほしくても、近づかれるのがイヤで我慢して抱っこし続けたりしていました。

 

今では笑い話ですが、当時は真剣に2人目をどうしようって悩んでいましたよ。

 

 初めてだらけの生活

それから、冒頭にも書いたように、生活変化の程度の差が大きいことも強く影響しています。

 

産後すぐの時期は、赤ちゃんのお世話にかかる割合はどうしても女性の方が高くならざるを得ません。

 

特に、産褥期はほぼ家の中で過ごす女性側と、これまで通り仕事をする男性側で、生活変化の程度がまったく異なります。

 

加えて、頻繁な授乳やおむつ替え、夜泣きで仮眠もとれず、慢性的な睡眠不足と疲労、初めてだらけの生活に対する緊張感で、24時間気持ちを休めることが出来ません。

 

先ほどのオキシトシンのおかげで、ママは赤ちゃんが泣けばすぐに身体が反応します。

 

赤ちゃんの夜泣きでママがへとへとになっている横でパパが熟睡している、なんていうママたちの嘆きも、実はオキシトシンの働きがあるからなのですね。

 

そうは言っても、そんな時に1時間でいいから赤ちゃんを見てくれたらとても楽になりますよね。

 

ガス抜きができない環境

現代は核家族化が進んで、地域コミュニティも希薄なエリアが大半です。

 

昔なら、夫が仕事に出ていても話を聞いてくれる家族が他にいたり、ご近所付き合いの中でちょっとしたグチを言えたり、悩みを打ち明けたりできたのですが、今は「孤育て」にならざるを得ない状況があります。

 

これが、夫嫌いになってしまう3つ目の原因です。

 

パンパンに膨らんだ風船は、適度に空気を抜かないとちょっとしたきっかけで割れてしまいます。

 

心の中にたまった思いがパンパンになって、ガス抜きできずにいるので、唯一コミュニケーションが取れる夫の些細な言動がトリガーとなって、風船が破裂してしまうのです。

 

「授乳中に、夫がリビングでテレビを観ていただけでブチ切れました。」なんていう話も聞いたことがあります。

 

相手が誰でも破裂するのですが、接する人が夫しかいないためにターゲットになってしまうのですね。

 

そう思うと、夫が少々気の毒にも思えてきませんか?

 

 

夫に「産後」を知ってもらう

せっかく始まった、新しい家族としての生活を円満に過ごしていきたいですよね。

 

男性は、産後の女性の変化についてほとんど知りません。

 

「産んだ」「出てきた」「おしまい」で、後は産前と同じ心身の状態に戻ったと思っています。

 

ですから、できれば出産の前から、産後の心身の変化について共有しておけるといいですね。

 

もちろん、遅きに失したということはありませんから、「今の状況」について「何が」「どういう風に」つらいのか、大変なのかを伝えていきましょう。

 

痛みがある、

動きにくい、

感情が不安定、

 

そういったひとつひとつのことを話していきましょう。

 

自分で話すのは難しいと思ったら、このページを見てもらうのも一案です。

 

とにかくまずは、夫に「産後のいまの私は、これまでの私とは違っている」ということを知ってもらうことです。

 

イライラの原因が分かると、夫もサポートがしやすくなります。

 

 

行政などのサポートも活用を

「孤育て」は行き詰まり感を感じて、イライラを助長します。

 

今年度から産後うつ支援のための助成も始まって、行政でもケアに乗り出しています。

 

そうした支援を利用するのは、決して母親として失格なわけでも何でもありません。

 

今や5~10人に1人は産後うつリスクがあると言われています。

 

自分のためにも、家族のためにも小さなことでも気軽に相談していきましょう。

 

社協や民間機関では、産後に特化した家事サポートサービスも提供されています。

 

こうしたサービスを利用することで、短時間でも自分の時間ができるとガス抜きが出来ますね。

 

家事サポートだけでなく、夫以外の人とおしゃべりができることも、こうしたサービスを利用することのメリットです。

 

行政サポートは少しハードルが高く感じられても、こうしたサービスの中で第三者とおしゃべりできる時間が、思いのほかリフレッシュできるものです。

 

 

リフレーミングにトライ!

上にあげた2つの方法で少し気持ちに余裕ができたら、最後の1つ「リフレーミング」にトライするといいですね。

 

【re】=もう一度

【flaming】=枠を作る

 

自分の視点から相手の視点に切り替えてみることで、見方を変えてみるわけです。

 

「なんで何も手伝ってくれないのよ!」 = 自分目線

 

これを相手目線に切り替えてみると…

 

「泣いてるからあやしたいけど、どうしていいか分からない…」

 

それが見えると、

 

「赤ちゃんはビニールの音が好きだから、買い物袋で音を出してみてほしい」

 

そんな風に具体的にどうしてほしいか伝えられますね。

 

リフレーミングは、相手に対しても自分に対しても、視点の切り替えができるので、必要以上に落ち込むことがなくなります。

 

習慣化すると、お子さんが大きくなった時にも使えるのでトライしてみてくださいね。

 

 

さいごに

赤ちゃんの誕生は、喜びと同時にたくさんのものを運んできてくれます。

 

ママも初めてだらけなら、夫も初めてだらけ。お互いに戸惑いながらのスタートです。

 

お互いの初めてと戸惑いを共有しながら、時には外部の力も借りて、夫婦としての新しい価値観を共有していきましょう。

 

>>【産後うつまとめ】特徴・原因・チェック項目・夫婦関係・セルフケア〜

 

 

村田あゆみさんのコラム一覧

【Part  1】産後うつかも?経験者が教えるチェックしたい3つの前兆とは?

【Part  2】産後うつの原因って?実体験で分かった3つの原因

【Part  3】産後うつになりやすい3つの特徴や20のチェック項目とは?

【Part  4】産後うつで夫が嫌いに…すぐに実践できる3つの克服方法とは?

【Part  5】産後うつにカウンセリングがオススメな3つの理由とは?

【Part  6】産後クライシスの解決法!私が実践した3つの方法をご紹介

【Part  7】産後うつクライシスで離婚?後悔する前に試してほしい3つのこと

【Part  8】産後クライシスで夫が浮気?夫婦関係を改善する3つの方法とは?

【Part  9】産後うつを夫が理解しない…夫の理解を得るための3つのコツ

【Part10】産後うつへの夫の対応…ついやりがちな3つのNG対応とは?

【Part11】産後うつで夫ができることって?私が嬉しかった3つのこと

【Part12】産後クライシスで夫がうつになる前に!4つの予防方法とは?

【Part13】二人目で産後うつの再発が心配…大切な5つのマインドセットとは?

【Part14】産後うつで夫の仕事に影響…夫が仕事と子育てを両立する3つのコツ

【Part15】産後うつはいつまで続く?14の特徴・4つのセルフケアとは?

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村田あゆみ

Shiny Edu代表・教育コンサルタント

高校教師として3,000人を超える高校生を指導。「21世紀型子育てレッスン」講座・講演主催。教員経験、子育てでの産後うつ、不登校経験から学童期までの母子の関わりの大切さを伝えています。【所有資格】中学校1種教員免許状(国語)、高校専修教員免許状(国語)、JAOS認定留学アドバイザー、アドラー心理学ELMリーダー講師、勇気づけ親子心理学SHINEbasicリーダー講師

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年5月4日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。