LGBTのカミングアウトの割合や理由って?事例を挙げてご紹介【鈴木茂義さん】

2018.05.29公開 2019.05.23更新

LGBTをカミングアウトする理由

上の調査にあるようにカミングアウトをする人も、一定数いることがわかりました。そもそもカミングアウトする理由はなんでしょうか?

 

以下に理由の一例をご紹介します。

 

大切な人に自分のことを伝えたいから

これは私がカミングアウトをした理由の1つです。

 

大切な家族や友人、職場の人に、彼女や結婚のことを聞かれるたびに、私はうそやごまかしでその話題をかわしていました。

 

しかし、それがだんだんしんどくなり、自分のことを伝えたいという気持ちが高まってきました。

 

教え子に対してもそうですが、自分のありのままの姿を知って欲しいという気持ちがありました。

 

周囲の人に聞かれたから

元バレーボール選手の滝沢ななえさんは、自身がレズビアンであることをカミングアウトしました。

 

「レズビアンだと気付けて、めっちゃ嬉しかった」元バレーボール選手・滝沢ななえさんがカミングアウトした理由

 

その中で滝沢さんは、

 

「実は自分からは言い出していなくて、親友から突然『あのさ、ななえって女の子が好き?』と聞かれたんです。それまで『彼氏ができても好きになれなくて…』という話もずっとしてきた親友だったので、そのときに『彼女ができて』とカミングアウトしました」。

 

とおっしゃっています。

 

自分からはカミングアウトしないけど、人に聞かれれば話すという人もいるようです。

 

周りの人に知られてしまった

自分ではカミングアウトをするつもりがなかったものの、ふとしたきっかけからカミングアウトせざるを得ない状況になったという話も聞きます。

 

同性のパートナーとのメールのやりとりを親に見られてしまった、

 

部屋に置いておいた雑誌を家族に見られてしまった、

 

デートしているところを友達に見られてしまった、

 

など、色々なことを聞いたことがあります。

 

自分のタイミングでカミングアウトをするときですら緊張する人もいますが、意図しないところでカミングアウトをせざるを得ない状況は、本人の大きな負担になると考えられます。

 

 

カミングアウトの事例

「結婚はまだか?」という親に対して

ゲイ男性Aさんには、付き合って10年の男性パートナーがいます。

 

Aさんは年に2回は、地方の実家に帰省します。

 

長男であるAさんは、実家に帰省するたびに「彼女を連れてこないのか?結婚はまだか?」と、親や親戚に言われます。

 

Aさんは、そのことを少々気にしていました。

 

「カミングアウトをして親を心配させたくないし、このままカミングアウトをしないでおこう。」と思っていました。

 

そして一方で、「いつかパートナーを両親に紹介したい。」という思いももっていました。

 

年を取るたびに、Aさんのカミングアウトしたい気持ちは大きくなり、まずは兄弟にカミングアウトをしました。

 

兄弟のカミングアウトをして様子を見た後に、また別の機会で両親にカミングアウトをしました。

 

初めは両親も戸惑っていましたが、Aさんが東京でパートナーと楽しい暮らしを送っていることが徐々にわかってきたようです。

 

Aさんと両親、そしてAさんのパートナーが4人で会う日も、近いかもしれません。

 

トランスジェンダーの生徒の存在

中学校に勤務する女性のB先生は、女性のパートナーがいます。

 

そのことを職場ではカミングアウトしていませんでした。

 

ある年の新年度、新入生の中に性別違和のあるトランスジェンダーの男子学生(体の性は女性。性自認が男性。)がいると情報が入ってきました。

 

よりよい支援のために、保護者を含めて校長室で会議が行われました。

 

生徒指導担当であったA先生も、校長室で一緒に支援について考えました。

 

トランスジェンダー男子学生の保護者の話を聞いているうちにA先生は、

 

「自分がこの場でカミングアウトをすることで、何か力になるかもしれない。」

 

と思い、校長先生や保護者の前でカミングアウトをしました。

 

 

まとめ

誰にも1人1人にライフストーリーがあるように、カミングアウトのストーリーも1人1人違います。

 

事例でお伝えしたのはほんの一部であります。

 

カミングアウトは「する・しない」に良し悪しがあるわけではなく、

 

「どのように自分を大切にするか」

「どのように他者を大切にするか」

 

が重要だと思います。

 

次回以降のコラムでまた、カミングアウトについてお伝えしたいと思います。

 

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

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【Part  5】LGBTのカミングアウトをされたら?職場・家族の声掛け事例を紹介

【Part  6】LGBTのカミングアウトの割合や理由って?事例を挙げてご紹介

【Part  7】LGBTのカミングアウトについて~シゲせんせーが伝えたいこと~

【Part  8】【LGBT問題】教育現場での事例と解決策をシゲせんせーが解説

【番外編】らしく、たのしく、ほこらしく。東京レインボープライド2018レポート

 

【関連まとめ】

>>LGBTとは?割合・カミングアウト対応例・インタビュー【臨床心理士&当事者まとめ】

 

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鈴木茂義

上智大学文学部非常勤講師。公立小学校非常勤講師。東京都世田谷区男女共同参画センターらぷらす相談員。専門は特別支援教育、教育相談、教育カウンセリングなど。14年間の正規小学校教諭として勤務を経て現職。教育研究会や教育センターでの講師経験も多い。お仕事のご依頼・お問合せはこちら

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年5月29日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。